shuntaro yoshino

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

Photo by Hidehiko OMATA

“Plinthess”

2021

Exhibition at Gallery binosha, Tokyo.


台座とはある意味で、展示者が変身した姿でもある。作品を持ち上げて顕示し、且つ保護し、解説し、なおも良く魅せようとする。展示者が会場に常駐するわけにはいかず、その任務を展示者より仮託された影の者である。展示者の影たる台座は、周囲環境としての建築に擬態し、展示者からの任務を全うしようとする…。写真に写るのは、台座扮する展示者、吉野俊太郎である。影の者として仕えつつ状況を支配する「黒衣(黒子)」と、状況を支配しながらも戯け、周囲を茶化し続ける「道化(clown)」の二つをヒントとして新規に制作した白づくめの衣装に身を包み、台座として演技する姿を写真作品として綴じた。


作品内では展示者で台座たる自身を酷い目に合わせるために、台座の化身と同じ服装のぬいぐるみを制作し、それに台座を支えさせた。支えるといってもぬいぐるみにそんな構造も力もないので、ただ潰されるだけになる。本作には台座の持つ強力な権威性への批判意識も含まれているため「柔らかい台座」として、これくらい痛めつけることはするべきだと考えた。


台座は展示空間の規模と吉野自身のスケールを元に検討し、結果日本建築の基準且つ吉野の身長とほぼ同じ高さとなる6尺(=約180cm)を選択した。幅は3:2程度の比率になるように調整し決定。厚みは、吉野の体が入ったときに無理のないサイズであることを条件に決定した。ところで、台座はある意味で分離した一種の建築物でもある。そしてそれは多くの場合、内部空間を秘めている。安部公房の箱男がそうであるように、その内部に潜む者がいてもおかしくないのではないか…そこから今回の作品のプランは考え出された。

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

Photo by Hidehiko OMATA

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

Photo by Hidehiko OMATA

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

Photo by Hidehiko OMATA

吉野俊太郎 個展「Plinthess」

Photo by Hidehiko OMATA

“For Plinthess”

2021

Drawing


最初に方眼用紙にボールペンで任意の直方体(=台座)を描き、その上から鉛筆で人物像を描いた。モチーフにしているのはびっくり箱(Jack-in-the-Box =箱の中の男)で、台座という箱から飛び出す者をイメージしている。この飛び出す者は台座、台座の化身である。化身の指差す先には台座——自身を規定するフレームが存在する。自身を規定するフレームとは、直方体以外に方眼用紙や額縁、あるいは展示タイトルなどにまで及び、展覧会を構成する客体(作品外らしきもの)すべてが指示の対象である。台座は、常にその内部から展示空間を把握し、指示をし、しかし物陰に隠れ続ける存在である。強大な能力に反して、彼は恥ずかしがり屋である。

その天板(あるいは裏板)を開けて、台座を台座自体からびっくり箱のように飛び出させること。これが個展「Plinthess」で吉野が試みたことの概説である。


会場:ギャラリー美の舎(東京都台東区谷中1丁目3−3)

企画:原田雄(SYP Gallery ディレクター)

制作協力:コムラマイ

記録:小俣英彦


Venue:Gallery binosha(1-3-3, Yanaka, Taito-ku, TOKYO)

Direction: Yu HARADA(SYP Gallery, Directer)

Cooperate:comuramai(Photograph)

Document:Hidehiko OMATA